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「異世界はスマートフォンとともに」第11話は何がヤバかったのか

現代日本では、3ヶ月ごとに数多くの新作アニメが世に放たれています。
7月に始まった「イセスマ」こと「異世界はスマートフォンとともに」も例に漏れず3ヶ月の放送枠の中で世に放たれた作品でした。

…が、1クールの終盤であるこの時期に一番のバズりを見せています。
しかも、「拷問」やら「虚無」やら悪い意味で、です。
一体どうしてこうなったのか。
ちょっと考えてみたいと思います。







あ、一応言っておきますが、
1話から視聴はしてます。

イセスマとは

本題に入る前に作品について触れておかないとなりません。

mistclast.hatenablog.com
以下の説明より多分こっちの記事の方が分かりやすいかとおもいますので紹介させていただきます。

異世界はスマートフォンとともに」とは

冬原パトラさんによる小説作品。
元はよい意味でも悪い意味でもその名を世にとどろかせる小説サイト「小説家になろう」で連載が始まったweb小説です。
2015年にホビージャパンHJ文庫で書籍化され、2017年7月よりアニメが放送開始されました。

ストーリー

詳細なストーリーは公式をみたほうが早いのでざっくりふまとめます。


   
sp.nicovideo.jp

主人公スマホ太郎こと望月冬夜が神様の手違いで死んでしまい、転生する条件に体の強さなどとは別にスマホを使えるようにしてもらい、地球に似た異世界に転生します。
そこで、共に持ち込んだスマホをフル活用して道を切り開く……







……なんて展開はなく(むしろスマホがなくても話が成立する)、チート能力でヒロインたちとのハーレムを築く、といったところでしょうか。
もっと詳細なストーリーはありますが、詰め込んでもついていけないでしょう。
所謂「なろう系」とも言われるジャンルで、元々人を選ぶジャンルということは考えておくところでしょう。

ここが素晴らしい

ストーリーの時点で「なんだこれ」と思う人はいるでしょう。分かります、私もいまだに思っていますから。
しかし、こんなアニメでもいいところはあるのです。

  • ストレスフリーな展開

特にストーリー全体の波が乏しく、しかも展開を削っているがため、速いテンポでサクサク進むのです。
これが逆にカタルシスなどをなくしているものの、ストレスフリーで見られるのです。

  • ヒロインがたくさんいる

本当にたくさんいます。アニメではまだまだですが最終的に嫁が9人のハーレム公国となるようです。

ストーリーの途中で仲間になる白虎なのですが、とにかく可愛い。 一応白帝と言われる神獣なのですが、そんなのどうでもいいな、という癒しの存在。
出てくるヒロインは全員主人公にゾッコンでそれに縛られない癒やしをくれるキャラがむしろ琥珀以外にいないという事実もありますが……。
あとおっさん(重要)
とにかくこのアニメは琥珀がいないと成立しないと思います。琥珀可愛い。

「は?」なところ

ニコニコでの配信されているアニメの動画では、内容に対して、いつしかそのあっさり解決する様に始まり、主人公が発言するだけで流れるコメント「は?」に倣い、このアニメの気になるところを先に触れておきます。

  • キャラの魅力が足りてない

そもそも、主人公の望月冬夜に共感しやすい要素が皆無といっていいほどで、そこから作品の評価が高くなくなるのも当然に感じられます。
時に悟るような様子であれば、スケベな反応が求められる場面ではしっかり恥ずかしさを出してくるなどしています。

うーん、お前、柔軟だな……。
その割には、敵と見なせば容赦しない一面もあるなど、魅力的かはさておき本人のチート性能も踏まえてなんとなく惹かれない。
チート主人公なら、さすおにことお兄さまやらいますが、それと比べても……。

一方、ヒロインは多いのですが、どこかで見たようなキャラデザばかり。
いや、別にそれはいいんですけどね、可愛いし。
問題は、そのヒロインたちの名前が全く覚えられてないことです。自分の記憶力の問題ですけど。
せいぜい、着物娘の八重(ヒロインの中でもキャラデザ一番好きです)と琥珀と10話で登場した神獣の珊瑚と黒耀ぐらい。

  • サックリサクサクの展開

これはむしろ原作の展開をうまく料理した方になるのですが、毒を盛られて倒れた国王のことを知らされる引きがありました。
次の回、国王の元にきた主人公が治癒魔法で一瞬で解毒してみせます。前回の引きから数分の話です。
特に「えぇ(困惑)」となった場面ではありますが、だいたい主人公があっさり解決していくのが本筋です。
ヒロインがピンチになりそうなことはあっても、難なく解決してしまいます。
そういうことを最初からずっとやっているのです……。

この作品の世界には属性魔法という形でいくつもの魔法の属性があります。
が、主人公、チートの化身です。これらの全ての属性の魔法を使うことが出来ます。
……そう、ここで浮かぶ人もいることでしょう。
スマホはどんな扱いなの?」と。
作中では、他の属性には当てはまらない(と思っていいです)無属性魔法という存在がありまして、その一種とは言っています。
……言っているのです、が、無属性魔法、それ自体が無茶苦茶優秀なのです。
スマホはメールの送受信などが制限されていますが、マップなどは使えます。
……無属性魔法、おそらくスマホの機能と同じことが出来そうな様子です。
途中で出てくる「プログラム」という無属性魔法はその名前の通り、プログラムのようになにかしらのシステムの設定が出来ます。
主人公は自ら作り出したオリジナルの銃(※この世界に銃はありません)に、自動で銃弾を装填することなどをプログラミングしています。
そう、スマホを使わない!使っても24分の中で30秒以上使えばかなり使っているほうなのです!
そりゃあ、スマホ太郎とかいう名前を付けられても仕方ない。

11話がどうしてここまで広がったのか

さて、そろそろ本題に戻りましょう。
どうして、こうなったのか考えてみたいと思います。

11話のおおよその展開(※本編のネタバレしかありません)

前回の話で空中庭園にきた主人公はパンツを丸見えの謎の少女、フランシェスカに出会います。

そこで空中庭園の謎について話され、なんやかんやで少女と契約します。

そして、ヒロインたちを空中庭園に呼び寄せた後は、ヒロインたちと雑談します。
そして、女の子2人と舌を絡めるキスをします。

おわり


……ごめんなさい、一回見ただけじゃここまでしか覚えてませんでした。
とりあえず最後が衝撃的すぎて、覚えてない。

何でこんな評価に至ったのか

そもそも、この話だけを見て「辛いわー」やら「クソアニメ」やら言うのは上辺だけをみた評価でしかないと思っています。
このタイミングで目立ったため、冷やかしなどを含めた人が見る、といった構図はないとは言えません。
私は、1話から見ていましたので、酷評を目にして、覚悟して見ましたが、騒がれるほどではなく少し拍子抜けしました。

そもそもいきなりこんな酷い回が出現したかのような雰囲気ですが、むしろ最初から酷かった。
継続してみている人は、案外20分まではいつも通りに感じたのではないでしょうか。
それ以降はまあ、うん、仕方ない。


正直、色々可能性はあると思うのですが、個人的に原因として挙げたいのは「話の進み方」じゃないかと思います。

話の進み方

基本的にこのアニメ、序盤は怒濤の早さとなっています。
それこそ、サクサク進むことを上述していましたが、まさにハイスピードで進行していたのです。
原作自体が1話が短めで、それの集合体となっているので、場面転換も多いのですが、お構いなしな感じでした。
が、中盤をすぎてから進行が遅くなってきていました。
そして、この11話は原作(※web連載での)2話分しか進んでいないのです。
つまり、カットする場所も少ないわけです。

元々の原作を削りながら蒸留した上で薄めて出していたつゆを、蒸留していないものを原液のまま出したものが11話といったところでしょうか。
凄く意味の分からない例えになっていますがこれくらい気にしてはなりません。

しかも、この終盤の11話に、原作2話しか進まない展開です。しかも、内容がだいたいヒロインハーレムの話。
いくら今までついてきていた視聴者も困惑するでしょう。
ここまで広まった理由は詳しくわかっていないのですが、きっとそこからの広がりかな、と思っています。

制作側の落ち度は?

正直、色々と制作側に突っ込みたいところはあるのですが、冷静に考えてみましょう。
まず、割と原作者に文句を言う人を見かけましたが、逆にこれを世に放つメンタルの強さを評価してあげるべきではないでしょうか。
そもそも、アニメスタッフ内容をマイルドにしたっていいのですから。
作画スタッフは、最初から予算の少なさを感じさせていましたので頑張ってるなと思います。
精々あの舌を絡める描写、あそこまで丁寧に必要だった?てところでしょう。
シナリオは、何故原作をそのまま進行させたのか、と言いたいところはあります。
シリーズ構成は仕事をしているのか、一体誰だ、と思い名前をみたら、高橋ナツコ氏……
彼女の名前をみて、苦い思いをしたことのある人はいるのではないかと思います。
色々関わっていますが、外れる時は結構外す印象があります。
……とオブラートに包みますが、私は去年のあるタヌキの出るアニメの件で凄くモヤモヤしてます。
この話の脚本こそしてはいないものの、どうにかしてほしかったな、という思いはあります。
が、そもそもこの原作だから仕方ない。

正直、制作側に落ち度はないと思っています。
むしろ、企画のお偉いさん達に最初から最後までじっくり見せて感じてほしい。

結局なにがヤバかったのか

今の時代、ネットでの評判がどちらにも簡単に傾きやすい印象があります。
今回、それが悪い方向に傾いたのがこの結果だろうとおもいます。

実際、最初から見続けている私でさえ乾いた笑いしか出ませんでした。
間違いなく今までと同じテンポだったら、「なんやねんこれ」と突っ込むだけで済んだはず。勿体ない。琥珀もでないしあ。

これならワルブレ一挙放送してくれ、と言いたいくらいでした。

アニメはひとまずクライマックスを迎えますが、無事におわることを祈りたいところです。