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福岡エアポートアクセスバスの展望を考える

去る4月27日、福岡空港への新たなアクセス路線バスが誕生しました。
その名も、FUKUOKA AIRPORT ACCESS BUS、福岡エアポートアクセスバスと銘打たれています。
最初に誕生したのが福岡空港と福岡市の中心部天神の西にある臨海部の百道地区への路線です。
5月以降には、福岡空港と天神地区、福岡空港と天神と博多の中間にある商業施設キャナルシティ博多への路線を開設していくようです。

さて、今回誕生したエアポートアクセスバス、どうなっていくのでしょうか。
空港へのアクセス手段としてのポテンシャルは如何ほどなのか。
少し今後の展望を考えていきたいと思います。

路線について

www.royalbus.jp

運行会社

このエアポートアクセスバス、運行はロイヤルバスとなっています。
このロイヤルバス、聞き覚えのある方がいるのではないかとおもいます。
www.royalbus.jp
元々ツアーバスとして名をあげたロイヤルエクスプレス、その会社であります。
アーバス時代は特にウィラーと共に高速バスに脅威を与えていました。
その後、ロイヤルエクスプレスは乗合バスとなりますが、現在も福岡からですと、関西方面への夜行バス(福岡発だけでなく熊本発の福岡経由もあります)を走らせています。
それこそ、先日福岡を代表する道路の支配者企業、西鉄の福岡と関西を結ぶ夜行バス路線のムーンライト号が運行を取りやめたのですが、まさにムーンライト号を苦境に立たせた勢力のうちの一つです。
最も、ロイヤルやウィラーはそのうちのほんの一部ですが…。

市内に車庫を有している関係もあり、福岡市内での路線バスを営業する運びになったというわけです。

路線

さて、今回開通したのが先ほども触れたように福岡空港と百道地区を結ぶ路線。
福岡空港の国内線から国際線に寄り、百道地区のヒルトンホテルシーホークへダイレクトに結ぶ路線となっています。
シーホークといえば、その名前にもあるように隣接して福岡ヤフオク! ドームがあり、ザ・福岡とも言うべき場所です。
ホテルの停留所は、マップを見る限り、ホテル西側の一階の入り口にある西鉄バスの停留所に併設しているのでしょうか。確認したいところではあります。

時間・本数・運賃

運行時間ですが、最短25分で福岡空港国際線とヒルトンホテルシーホークを結んでいます。
本数は26便…なのですが、単純に13往復ではありません。
福岡空港発が18便、ヒルトンホテル発が午前中に8便と、かなり偏りのある運用となっています。
運賃は1000円。回数券を使うことにより最安900円で乗車可能となっています。
他の路線バスと比べるとはっきり言って高いのですが、観光バスタイプの車両ということもあり、致し方ないところもあるでしょうか。

展望を考える

ロイヤルの強みを生かせるか

上記の通りの路線なのですが、正直なところ「かなり強気に出たな」といったところです。
強気というか、無茶な設定というか…。

午前中のヒルトンホテル発8便という設定からも分かるとおり、ヒルトンホテルへの宿泊客、特に外国人観光客をターゲットにしているようです。
一方、福岡空港発は10時台から20時台まで約30分に一便のペースでの運行で、ヒルトンホテルの宿泊客以外も狙っているようにも感じられます。
ヒルトンホテルの立地自体も、ドームが隣接しており、かつ、徒歩で百道浜にある福岡タワーや福岡市博物館、近隣の大学などへのアクセスしやすい場所にあります。
百道地区は地下鉄の路線から少々離れていることもあり、空港から百道地区へのアクセス手段にもなりうるのかなと考えられます。
ここらへんは、ツアーバスとして一時代を築いたロイヤルエクスプレスとしての強みかな、と思います。


…がこれで勝ち目があるのか?

西鉄の牙城

福岡という街の道路は、その殆どのバスが西鉄による路線バスに埋め尽くされています。
しかも、この言い回し、割と語弊がある訳でもないのです。

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※昨年11月の博多駅前道路陥没時に撮った写真。画面奥が例の場所。画面中央に縦断するバスが西鉄バス。因みに写真の道路三方向の全方向にバスが走ります。

天神地区という町全体でバスターミナルの形作る、乗用車で天神を走るといつの間にかバスに囲まれる、博多駅前では
同じ時間に5本バスが停車するバス停がある、バスの増発とライバル路線の勢いで並行する自社の鉄道路線を廃止に追い込んだ…などと都市伝説じみた話も多い西鉄バス
福岡市内の一部地域に他社が走るのを除けばスマートループという模様を見かけないエリアが少ないといえる程の路線網を広げています。

そんな西鉄バスの牙城に殴り込みをかけたわけですが、運賃からしてかなりの強気設定。
確かに観光バスタイプの車両でかつメインターゲットは外国人観光客なのでしょうが…。目的地への分かりやすさを出して客を奪い取れなければ相当苦しいことになりそうです。
実は、福岡空港とヒルトンホテルの間、一応には西鉄バス一本で行くことも可能です。
国内線からのみなので、少々分かりづらいですけど…。

福岡空港のアクセス改善の流れ

さて、今回福岡エアポートアクセスバスが開設されたのですが、福岡空港のアクセス面の改善がここ近年大幅に行われています。
元々、国内線側にターミナルが集約されていたものの、国際線ターミナルが反対側に移転。
空港自体もキャパシティの割に利用客も多く、滑走路の離着陸が最短2分に一機が滑走路を縦断する混雑度を誇っています。
現在ターミナルは一部移転リニューアル工事中で、後々高さの違う滑走路が二本並行するように工事がされる予定です。
そんな空港ですが、アクセス面には課題がありました。
市営地下鉄を使うことにより、国内線からは中心部の博多まで5分という日本でも異次元のアクセス性の良さを誇るものの、国際線はアクセス性に難がありました。
国内線と国際線を結ぶバスこそありますが、近年経由していた高速バス以外にも国際線ターミナルへと行くバスが増加しています。
代表的なのが、博多駅や天神から国際線を結ぶエアポートバス。
ルート上の全ての停留所に止まる各停便と一部停留所を通過する快速便があり、エアポートアクセスバスの開設二日前には対策をとるかのように博多駅から国際線ターミナルまでノンストップで結ぶ直行便も設定されています。
それに加え、博多駅から国際線ターミナルを経由して天満宮で名だたる太宰府駅までを結ぶライナーバス「旅人」も、博多駅と国際線の間を区間利用する客も多く、かなりの数が存在しています。

それに加えて、この春に出来たのが、西鉄の南の玄関口である大橋から国際線に向かう路線。
元々直線上では近いもののバス路線が無かったのですが、開設されています。

そこに、今回のロイヤルバスが参入し、国際線ターミナルのアクセスが大幅に改善されることになるわけです。


ところで、ここまで空港アクセスのバスとして代名詞ともいえるフレーズが出ていません。
そう、リムジンバスです。
実は、福岡にリムジンバスは存在していませんでした。

リムジンバスが存在しない?!街福岡

リムジンバスと言えば、個人的には羽田空港へのバスが思い浮かびます。
というか、羽田空港へのバスを知るまではリムジンバスの概念を知りませんでした。
そもそも、リムジンバスに乗ったことさえありません。

「そもそも中心部から地下鉄ですぐ行ける」こともあるのですが、西鉄バス福岡空港へのリムジンバスを一つも走らせていないためでもあります。

「散々空港アクセスバス言ってたよね?」と思われる方もいることでしょう。
そう、確かに空港へのバスはありますし、何度も利用したことはあります。
が、それはリムジンバスではなく一般のバス。

西鉄バスは現在リムジンバスと名前を付けて運行している路線は実際あります。
それが、北九州空港の深夜早朝便に連絡する福北リムジンバス
はい、これだけです。
他は、精々

  • 高速バスが空港経由
  • 路線の一種別が空港発着
  • 空港から出てるだけの高速バス

また、路線バスとしては

  • 空港を経由していく一般路線バス(地の地下鉄駅との乗り換えも念頭に)
  • バイパスや元有料道路を通り飯塚や田川へ向かう急行バス

…といったところです。

高速バスが空港経由の路線には、福岡市内と湯布院を結ぶ高速バスの路線などがあります。
こちらはインバウンド需要に合わせています。
一種別が空港発着の路線としては、北九州市内への高速バス、熊本へのひのくに号などが存在しています。
空港発着の路線には、福岡空港から久留米への路線、大牟田への路線があります。こちらはリムジンバスに近いのですが、クローズドア区間こそあるも中間は自由に乗り降り出来るようになっています。


そもそも、福岡空港都心部からかなり近いこともある為か、リムジンバスという概念が薄いのでしょう。
それだけに、ロイヤルバスがどこまで切り込めるかというところですが…。
正直、価格面では西鉄に太刀打ちできるわけがないです。
それ以外で…というところですが、エアポートアクセスバスの他の路線が開設されなければ比較も難しそう。
兎にも角にも、ロイヤルバスがどこまで行けるのか、期待したいところです。



余談
そう言えば画像として博多駅前の様子として昨年11月のものを出しましたが、まさに陥没のあった現場にできるのが地下鉄七隈線
当初は博多駅のホームは行き止まりのホーム構造で平面スルーで空港線への連絡通路が設けられる…ということでホームページや地下鉄コンコースのブースで紹介されていました。
が、陥没があってひと月ぐらい経った頃、ふと目をやると、連絡通路が一つ上の階層に…?

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※コンコースにはこのように床に予定地などが貼られたスペースがあります。まるでゴジラの気分…?

内部で何かしら動きはあるのでしょうか。国際線へのアクセスを、という声も実際ありますし、七隈線博多駅延伸後に何かしら動きがあってもおかしくはなさそうです。
空港線でも福岡空港駅から月隈地区方面、東平尾公園への延伸の声が上がっているとのことなので、気にはなる流れです。